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ORCA愉快日記

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2010-03-30 Ubuntu Server版とDesktop版の違いメモ

_ [Ubuntu] Ubuntu Server版とDesktop版の違いメモ

以前Ubuntu 8.04の違いについて調べたものをまとめたもの。少し情報が古くなっていますが、根本的なServer版とDesktop版の指向の違いは変わっていません。

追記 :Ubuntu 10.04などの最近の環境では、標準カーネル以外に、4GB以上のメモリを認識できるようPAE機能を有効にしたカーネル linux-image-generic-pae などのパッケージもリリースされています。

□ Ubuntu Server版とDesktop版の違い
Ubuntuの主なエディションとして、Desktop版とServer版がある。
  
参照しているソフトウェアリポジトリは一緒のため、パッケージそのものは
同じものがインストールされるが、デフォルトでインストールされるパッケージの数や種類は異なる。
  
また、カーネルについては、それぞれの目的に合わせて設定の異なる
パッケージがインストールされる。インストーラの見た目にも違いがある。
  
パッケージに関しては大きく違っているわけではないが、ユーザが
色々なソフトやサービスをGUIで利用する目的で作成されるDesktop版と
サーバ向けとしてGUIが不要で、多くの人にサービスを提供するデーモンを
効率よく動作させる目的のServer版とでは、元から指向が異なっている。
  
  
□ カーネル設定の違い
Desktop版と違いServer版では、カーネル設定は大容量メモリが使用できる
ようにPAE機能がONになっていたり、マルチCPUなどの利用を想定して
割り込みタイマの頻度が少なめになっている。
  
□ インストーラの違い
* Desktop版
  ユーザがGUIアプリケーション等を利用する目的。
  GUIベースのグラフィカルモードでインストールを行う。
  Live起動を行い、インストールなしにデスクトップ環境を試すことができる。
  GNOMEデスクトップ環境をはじめ、多様なソフトがインストールされる。
  インストールは簡単で、インストール時に細かい設定を行わない。
  
  
  
* Server版
  サーバとして、複数のユーザに効率的にサービスを提供する目的。
  CUIベースのテキストモードでインストールを行う。
  サーバ向けに必要最小限のパッケージのみインストールされる。
  XサーバやGNOMEデスクトップ環境はインストールされない。
  インストールはやや難しいが、インストール時に細かい設定が行える。
  
  
  
参考URL
Ubuntu Server: Considering Kernel Configuration
http://www.enterprisenetworkingplanet.com/netos/article.php/3710641
Ubuntu Server: Good Concept, Flawed Execution
http://www.enterprisenetworkingplanet.com/netos/article.php/3712031
Ubuntu Server Edition
http://www.ubuntu.com/products/whatIsubuntu/serveredition
Ubuntu Help - Frequently Asked Questions about the Ubuntu Server Edition
https://help.ubuntu.com/community/ServerFaq
Ubuntu Wiki - ServerGUI
https://help.ubuntu.com/community/ServerGUI
Maintenance policy and life-cycle :Ubuntu Server Edition
http://www.ubuntu.com/products/whatisubuntu/serveredition/benefits/lifecycle
□ Ubuntu 8.04でDesktop版とServer版のカーネルコンフィグ比較
* kernel 2.6.24 genericカーネル(Desktop版)とserverカーネル(Server版)を比較したもの。
-----------------------------------------------------------------
--- /boot/config-2.6.24-24-generic  2009-07-08 08:16:28.000000000 +0900
+++ /boot/config-2.6.24-24-server 2009-07-08 08:20:37.000000000 +0900
-CONFIG_DEFAULT_CFQ=y
-CONFIG_DEFAULT_IOSCHED="cfq"
+CONFIG_DEFAULT_DEADLINE=y
+CONFIG_DEFAULT_IOSCHED="deadline"
-CONFIG_EDD_OFF=y
-CONFIG_HIGHMEM4G=y
+CONFIG_HIGHMEM64G=y
+CONFIG_HUGETLBFS=y
+CONFIG_HUGETLB_PAGE=y
+CONFIG_HVC_XEN=y
-CONFIG_HZ=250
-CONFIG_HZ_250=y
+CONFIG_HZ=100
+CONFIG_HZ_100=y
+CONFIG_I2O_EXT_ADAPTEC_DMA64=y
+CONFIG_IPV6_MULTIPLE_TABLES=y
-CONFIG_LGUEST=m
-CONFIG_M586=y
+CONFIG_M686=y
+CONFIG_NETLABEL=y
-CONFIG_PREEMPT_BKL=y
+CONFIG_PREEMPT_NONE=y
-CONFIG_PREEMPT_VOLUNTARY=y
+CONFIG_RESOURCES_64BIT=y
-CONFIG_VERSION_SIGNATURE="Ubuntu 2.6.24-24.56-generic"
+CONFIG_VERSION_SIGNATURE="Ubuntu 2.6.24-24.56-server"
-CONFIG_X86_ALIGNMENT_16=y
+CONFIG_X86_CMOV=y
-CONFIG_X86_F00F_BUG=y
+CONFIG_X86_GOOD_APIC=y
+CONFIG_X86_PAE=y
+CONFIG_X86_TSC=y
+CONFIG_X86_USE_PPRO_CHECKSUM=y
+CONFIG_XEN=y
+CONFIG_XEN_BLKDEV_FRONTEND=m
+CONFIG_XEN_NETDEV_FRONTEND=m
-----------------------------------------------------------------
  
□ カーネルコンフィグの詳細
* I/Oスケジューラ設定の変更
  I/Oスケジューラに関しては下記参照。
  http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080613/308032/
  
   -CONFIG_DEFAULT_CFQ=y
   -CONFIG_DEFAULT_IOSCHED="cfq"
   +CONFIG_DEFAULT_DEADLINE=y
   +CONFIG_DEFAULT_IOSCHED="deadline"
  
* HIGHMEMによるメモリ設定
   -CONFIG_HIGHMEM4G=y
   +CONFIG_HIGHMEM64G=y
  
* タイマ割り込み頻度の変更
  1秒あたりのタイマの頻度(Hz)を表すので、Server版の100は10msecと
  いう意味となる。割り込みが多すぎてもCPUの負荷が高くなる。
  複数CPUなどがあると割り込みが多く発生しすぎるので
  サーバ環境向けに少なめの100になっている。
  
   -CONFIG_HZ=250
   -CONFIG_HZ_250=y
   +CONFIG_HZ=100
   +CONFIG_HZ_100=y
  
* 対応アーキテクチャの変更
  686アーキテクチャに合わせて最適化されている。
  
  -CONFIG_M586=y
  +CONFIG_M686=y
  
  このため、CMOV命令をサポートしておらず686アーキテクチャ
  互換でないVIA C3の一部のCPU等では正常に動作しない。
  http://gotom.jp/~gotom/pub/2003-07-debuan-03summer/debuan-2003-summer.txt
  
* カーネルプリエンプションがOFFに
  -CONFIG_PREEMPT_BKL=y
  +CONFIG_PREEMPT_NONE=y
  -CONFIG_PREEMPT_VOLUNTARY=y
  
* PAE(物理アドレス拡張)モードが有効に
  PAEモードについては下記参照。
  http://en.wikipedia.org/wiki/Physical_Address_Extension
  
  これによりアドレスサイズが32bit→36bitとして扱われるので
  最大メモリ量が4GB→64GBとなる。
  (ただし、チップセット等がサポートするメモリ上限があるので
   実際の最大メモリ量はハードウェアによって異なる)
  
  また、PAE非対応のPentium-MやATOMの一部などのCPUや
  VirtualBoxの仮想環境でのデフォルト設定では動作しない。
  
  +CONFIG_X86_PAE=y
  
* Xenが有効に
  +CONFIG_XEN=y
  +CONFIG_XEN_BLKDEV_FRONTEND=m
  +CONFIG_XEN_NETDEV_FRONTEND=m

_ [Ubuntu] Ubuntu ServerにGUIはお薦めできない

某所向けのメモ。Ubuntu Serverをベースにして作っているシステムに、Openoffice.orgやらゲームやら余計なソフトをインストールしていなければいいのですけどね。

追記: Server版UbuntuにGUIはお薦めしないというのは、業務で使用するサーバ向けの話であって、絶対ダメだというわけではありません。自宅サーバ程度のものであれば、Ubuntu Desktop版にサーバソフトウェアを入れて動かすのでも良いですし、CUIで管理をほったらかすよりGUIで管理がきちんとされている方がましです。

ただし、LTSリリースのServer版であってもすべてのパッケージが5年サポートされるわけではなく、例えばGNOMEデスクトップ環境などはLTSリリースのUbuntuでも3年しかサポートされていないので、Desktop版と同等のタイミングでアップグレードを行う必要があることに注意してください。基本は、余計なソフトを入れないのが鉄則です。

基本的には下記URL参照
Ubuntu Help - ServerGUI
https://help.ubuntu.com/community/ServerGUI#Arguments%20Against%20a%20GUI
  
----------------------------------------------------------------
Most Ubuntu Server developers do not recommend installing X on a server. There are multiple reasons for not installing a GUI.
  
Some reasons to not install a GUI include:
  * You'll have more code subject to security vulnerabilities,
    more packages that need updating, and more server downtime.
  * X11 and desktop packages are not supported for the full 5
    year lifecycle of the LTS server release.
  * Performance may suffer because resources (memory, hard disk
    space, CPU, etc.) will be consumed by the GUI.
  * It is best practice to only install needed software on a
    production server.
  * The GUI may include other network services that are
    inappropriate for a server.
    (略)  
So for the most secure server it is best to not install a GUI. 
----------------------------------------------------------------
多くのUbuntu Server開発者はサーバにXサーバをインストールするのを
お薦めしません。GUIをインストールしないのは、いくつかの理由が
あります。
  
GUI込みでインストールしない理由:
  * セキュリティ脆弱性を受けるコードが増え、より多くのパッケージの
    アップデートが必要になり、サーバのダウンタイムが増えます。
  * X11とデスクトップパッケージは、LTS Serverリリースの
    全5年のライフサイクルはサポートされていません。
  * GUIによってリソース(メモリ/ハードディスク容量/CPU等)が
    消費されるため、パフォーマンスが犠牲になる可能性があります。
  * 商用サーバでは必要なソフトウェアのみインストールするのが
    良い慣習となっています。
  * GUIにはサーバにとって適切でないネットワークサービスが
    含まれている可能性があります。
  
そのため、サーバのセキュリティを最大限にするには
GUIをインストールしないのが最も良いのです。
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