ふと、新幹線で出張する際に、デッキでボーッと隣の線路を眺めていると、隣のレールが見える相対的な位置が、ほとんど変わらないことに気づいたので、調べてみた。
そもそも、在来線だと駅が多かったり、ポイントや鉄橋があったりすると、列車から見える隣の線路の位置はけっこう変わってしまいますね。新幹線の場合は、駅間が長いことと高架軌道で高速走行するため、隣の線路と沿って走る区間が長く、相対的な位置が変わらないように見えるのでしょう。
で、鉄道のレールのずれは「軌道狂い」と呼ばれ、主に「軌間狂い」「水準狂い」「通り狂い」「高低狂い」などをまとめた総称のことだそうです。軌間狂いは、レールとレールの間の間隔のずれのこと。水準狂いは、隣り合うレールとレールの高さのずれのこと。通り狂いとは、レールを真上から見たときの、左右方向へのずれのこと。高低狂いとは、レールを真横から見たときの、上下方向へのずれのこと。詳細は、鉄道車両Tipsのページの図を見るとよく分かるでしょう。今回のように、隣り合う列車から見たときのレールずれというのは、主に「通り狂い」のことだということが分かりました。
この通り狂いの測定は、あの"ドクターイエロー"や"黄色い新幹線"の愛称で呼ばれる電気軌道総合試験車がレーザーで計測しており、最新のドクターイエローでは、新幹線の路線を25cm間隔で0.2mmの精度で計測しているそう。ドクターイエローでの計測に関しては、日本機械保線の軌道検測の原理についてのページが詳しい。レーザーでの計測って、このようにやるんですね。
さらに調べていくと、この通り狂いの誤差がどこまで許容されるのか、というはっきりとした資料が見つからなかったのですが、どうやらレール10mあたり横方向3mmのずれであれば、修正されるそうです。ここまでの精度でレールが調整されているということを、改めて納得しました。そりゃ、270Km/h(秒速75m)で走る新幹線から見ても、隣の線路のずれが分からないわけですねー。
この保線を行う車両には、いろいろバリエーションがあるのですが、日本機械保線の保線作業の流れというFlashサイトが素晴らしい出来ですね。どのような列車がどのような作業を行っているか、一般向けにも分かりやすいFlashムービーとなっています。開発した人は"A列車でいこう"のファンだったとかかなー?保線車両は、プラッサー&トイラー社という海外メーカーが圧倒的なシェアを持っており、プラッサーの製品ページでは、多種多様な保線用車両が載っています。この業界も、一般にはあまり知られないだけに奥が深い。